日本は世界屈指の“温泉大国”です。源泉数が2万7000本を越え、その湧出量は毎分約260万リットルにものぼります。しかも、42度以上の高温泉が47%を占めています。日本には3085ヶ所の宿泊施設のある温泉地がありますが、その多くは火山帯に沿うように分布しているので、温泉の熱源には事欠かありません。梅雨や台風、降雪が日本列島に大量の水資源をもたらしてくれるため、温泉水の元もふんだんにあります。わが国の温泉の中でも、箱根は、年間約2000万人の観光客が訪れる日本屈指の観光地です。日本では古くから温泉地イコール観光地として発展してきましたが、箱根の宿泊施設数、収容定員数、宿泊利用人員数のすべてで日本一であることが、それを如実に示しています。また、その魅力は箱根全山十七湯から、1日2万5000㌧もの湧出量があり、20箇所に分けられる温泉場。芦ノ湖や季節によって彩りが変わる山々、花々など、自然に囲まれた景色、美術館、遊覧船、立ち寄り湯、庭園などの多様な観光施設とイベントです。最近では、すっかりお正月の風物詩となった『箱根駅伝』でもおなじみです。
国道1号線に面し、箱根駅伝の実況中継地点となっている箱根を代表するホテルの新施設の造成にテールアルメ擁壁が採用されました。国立公園の中に立地するこの新施設は、箱根山に中腹に位置するため、素晴らしい眺望を堪能できますが、地勢上、急傾斜地に計画されたため、ロビー階と地山の高低差が、大きいという問題がありました。当初は、現場打L型擁壁で計画されていましたが、建築工事への影響を最小限に抑える為、1)工期短縮、2)施工用地が最小限化、3)壁高15mに対応し、且つ大臣認定擁壁であるという条件で擁壁が再検討されました。そしてこの条件を全て満たすテールアルメ擁壁と擁壁兼用となった建物でこの高低差部分を土留することで、この新長期滞在型リゾートの高級感と調和したエントランスから続く、広々とした車止めが出来上がりました。
今後、訪日外国人客の増加を追い風に、この新宿泊施設の開業がきっかけとなり、箱根エリアが更に盛り上がっていくことと思われます。